【感想】湯本香樹実「夏の庭」を読みました。幼い頃の夏の思い出。

本日は、湯本香樹実さんの「夏の庭」という作品をご紹介していきます。

手に取った瞬間に何か深いものが伝わってくるような気がしました。

小学生の時の国語の教科書に出てきそうなどこか懐かしい渡邊良重さんの絵。

味がありこれから始まる物語をイメージする手助けをしてくれているようです。

夏の庭―The Friends (新潮文庫) 湯本香樹実
created by Rinker

ストーリー

小学生男子3人が抱く“死”への興味。

一人暮らしのおじいさんの死を観察すると決めた3人は、尾行を始める。

やがて夏休みを迎え日を追うごとに、おじいさんは元気を取り戻していき3人との深い絆がうまれていく。

彼らは、最後に何を学んだのだろう。初めて”死”に直面する少年たちの感動物語。

こんな方におススメ!

少年少女時代を思い返したい

温かい気持ちになりたい

都心の忙しい生活から休憩したい

誰かとの大切な思い出に浸りたい

読みやすさ

ストーリー
(4.5)
構成
(4.0)
登場人物
(3.5)
Total
(4.0)

厚さも薄く読みやすく読書に慣れていない人でも手に取りやすいと思います。

私もあっという間に読み終わってしまいました。

読み終わった後は色々な思いが駆け巡りしばらくは動かず、余韻に浸っていました。

大人向けの物語が好きな方には少し物足りないと思ってしまうかもしれません。

少年3人といえど、会話はどのように成り立っていくのだろうと思ってたら特に誰が何を言ったかなんてどうでもいいように勢いよく書かれていました。

とても読みやすくて少年たちの言葉遣い等、年相応の表現など細々なところが忠実だと思います。

みどころ

少年たちの素直な気持ちが突き刺さってきたと思えば、はたまた“ちびまる子ちゃん”のような昔懐かしい風景を思い起こさせ温かい気持ちにさせてくれる。

町のみんなが親しくて、知らないおばさんが子供の面倒を見てくれたり、そこらへんに生えている雑草で遊び方を教えてくれたり、そんな、ゆっくり時間が流れているような場所が手にとるように伝わってきます。

個人的には、おじいさんのキャラの変貌ぶりが◎。頼もしさだったり、時には可愛さだったりと様々な面を持ち合わせていてページが進むにつれどんどん引き込まれていきます。

扱っている内容はシビアだが、誰もがどこかで必ず抱く疑問であるし、私も実際そのような時があったわけで夜も眠れなくなることがあったくらいです。共感する方も多いのでは。

感想 -お気に入りの言葉と共に-

ここからは、個人的に好きな文章を物語から抜き出して好きなように感想を書いています。

ネタバレを含んでいますので、まだ本を読んでいないという方はどうぞ読書を楽しんでください。

また、戻って来て頂けると幸いです。コメントもお待ちしております。

生きる目的

“死んでもいい、と思えるほどの何かを、いつか僕はできるのだろうか。

たとえやり遂げることはできなくても、そんな何かを見つけたいと思った。

そうでなくちゃ、何のために生きているんだ“

3人組の一人、山下が学校のプールで溺れてしまい3人が初めて“死ぬ”という恐怖を目の当たりにする場面である。

大人になった今でも充分響く言葉だなと率直に思う。

私は一体何のために生きているんだろう。

最近は仕事と家の往復で1日が終わりこんなこと考えたこともなかった。

親孝行するため?

将来の夢を叶えるため?

お金を稼ぐため?

確実に一つではないだろう。

人はいつ、どこで死ぬか分からない。

できることなら常に幸せだったと思える状態でいたい。自分の存在意義とはなんだろう。

シンプルな問いかけだけれども、これからも長い間考え続けるのだろう。

歳を重ねるということ

“時々、初めての場所なのに、なぜかきたことがあると感じたりするのは、遠い昔の誰かの思い出のいたずらなのだ。”

おじいさんとおばあさんが二人で北海道での思い出を楽しそうに語り合っているところを眺めながら少年たちが嬉しくなっているシーンだ。

私はこの考え方がとても素敵だなと思わず付箋をつけてしまった。

歳を重ねることはとても魅力的。

積み重なっていく知識や経験、思い出で身体中が満タンなっていく気がするから… だから一日たりとも無駄にできない、したくない。

湯本先生の物事の捉え方は、明るくて希望にあふれていて読者を笑顔にしてくれる。論理的な真実ではなくとも、表現の仕方や捉え方次第で人の心は弾んだり温かくなったり、時には沈んだりもする。

物事を常にポジティブに考えられる人の方が絶対、他の人より幸せ度が高くて得していると思う。

話がずれてしまった気がするが、この1文で私の“死”に対する印象がどこか明るいものになった。

死ぬということ

“ぼくはしっかりと見届けなくてはならない。最後まで目をそらしてはいけない。”

おじいさんが亡くなった時の少年たちである。

いつも一緒にいた人が急にいなくなるということはどういうことなのか。

少年たちの“死ぬ”ことに対する印象が明らかに変化し成長が見受けられるシーンである。

とても感動的で、私が初めて身近な人を失った時に経験した想いの数々が走馬灯のように思い起こされた場面であった。

それと同時に、おじいさんの死に方がなんて美しいのだろう。何を考えながら亡くなっていったんだろう。と、しばらくの間考えてしまった。

これも湯本先生ならではの優しい書き方なんだろうな。

最後に

何と言っても、この本の終わり方がとても気に入っています。
基本的にハッピーエンドを好んで読む私ですが、温かく包まれるような、明日からまた頑張ろう。

と思えるようなエネルギーに満ちた終わり方で、とても満足しました。また、読みたい時がくると思うので大切にしまっておこうと思っています。
一気に読めるので、是非読んでみてください。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です