【感想】坂木司「青空の卵」を読みました。友情を超えた友情。

おはようございます、れんげです。

今日は、坂木司さんの「青空の卵」という作品を読んだレビューをしていきます。

先日「和菓子のアン」がとても話題になり彼を知った方も多いと思います。アンちゃんもそうですが、こちらもシリーズものなんですよ。

坂木司さんに興味を持った方は、ぜひこちらもおススメです。

ストーリー

坂木司には、一風変わった友人がいる。自称引きこもりの鳥井真一だ。
複雑な生い立ちから心を閉ざしがちな彼を外の世界に連れ出そうと、僕は日夜頑張っている。
料理が趣味の鳥井の食卓で、僕は身近に起こった様々な謎を問いかける。鋭い観察眼を持つ鳥井は、どんな真実を書き出すのか。謎を解き、人と出会うことによってもたらされる二人の成長を描いた感動の著者デビュー作。(文庫本から)

こんな方におススメ!

・連作短編集が読みたい
・優しいミステリー小説が読みたい
・泣き虫の男の子と頭の良いひきこもりが主人公
・ちょっとした休憩に読みたい一冊

読みやすさ

ストーリー
(4.0)

構成
(4.5)

登場人物
(5.0)

Total
(1.0)

連作短編集のような長編物語です。
5章で構成されるこの本は、主人公が出会う事件の推理物語で連なっています。

事件自体は、死人は出てこないので怖いものが苦手でも安心して読めました。

事件ものというより謎解きに近いです。

全ての物語が繋がっているため、理解もしやすいですし非常に読みやすいです。

見どころ

坂木と、鳥井の一心同体のような、家族以上の友情関係に注目してほしいです。

物語が展開していくごとに明らかになっていく鳥井の過去と本当の姿。

そして、鳥井を支えているようで本当は支えられている坂木。

これまで出会ったことのない友情の形に美しさと恐怖を感じました。

感想

ここからは、私が個人的に気に入っている台詞や文を抜き出して自由に感想を書いていきます。
誤字脱字や稚拙な表現が目立っていると思いますが、よかったらどうぞ優しい目で読んでいただけると嬉しいです。
※ネタバレあります。

彼らの空間

鳥井が作る味わい深い美味しい料理と大量に買う銘菓に誘われて、みんなの憩いの場になっていく様子は見ていて温かい。

警察官の滝本や部下の小宮くんも、塚田くんも…章が終わるごとに人が増え、なんだか一つの家族が出来上がっている感じ。

それは、家族がいない鳥井への同情心などはこれっぽちも感じさせない、自然で気遣いなんてない本物の空間。

坂木と鳥井がひかれあっている理由が手に取るように伝わってきた。

人は自分にないものに惹かれ、輝いてみえるものである。

しかし、彼らの関係は友情と似たようでどこか違う。

お互いの要求、願望に答えようと振舞っている二人を見ていると“美しい友情”の姿を超えたものが見えてくる。

それこそ代償を一切望まない理想的なものを感じさせるが、どこか不安定で、どちらかが欠けてしまったらすべてが壊れてしまうような関係に恐怖さえ生まれてくる。

ただ、一つ言えること。

それは、彼らがお互いの存在をとても大切に想い、感謝しているという事実。

心の中に棲む人と暮らせば、幸せも不幸せも、本物が手に入るぞ。

僕は、本物が欲しい。
僕は、本物になりたい。

私には、誰かをこんなに愛おしく尊く想えるようになる日はくるのだろうか。

最後に

坂木司さんデビュー作ということで選んだ本でしたが、主人公もが坂木司ということに、衝撃。

これはフィクションなのかなと思いつつ読み進めていきました。

第二作、第三作と続くこの作品。
読むのが楽しみです。


それでは、このへんで。
ありがとうございました。

れんげ

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