それは、自分ひとりだけの儀式のように。
人には言えない。だけど欠かさず続けていること。
寂しさを埋めるため。一緒にいた時間を思い出すため。
ただ、穏やかに、心を落ち着かせるため。
路面電車が走る町に越して来た青年を囲む「むずかしい人々」。
それは、商店街のはずれのサンドイッチ店の親子で、
アパートに住むマダムで..
そして、青年が画面越しに恋をしたB級映画女優で…
いくつもの人生がとけあいながら、
「名前のないスープ」を完成させていく..
ささやかで、愛おしい物語。
れんげ
この記事を書いている私は、年間読書量250冊の小説好きインドア女子です。普段声に出して言えないことも含め、私が本を読んで感じたことそのままを書いています。本選びの参考にして頂けたら嬉しいです
今回読んだのは、吉田篤弘さんの『それからはスープのことばかり考えて暮らした』です。
・最近、人に振り回されて自分を見失ってるなと感じる
・難しいことを考えずにリラックスして読書したい
温かいスープのような人生を
ここに登場するひとりひとりが温かくて優しくて..
見ず知らずの場所でこういう人間関係が生まれるって素敵だなって思います。
不器用な人ほど、他人の気持ちに慎重で
強がりな人ほど、実は人一倍傷つきやすくて優しい。
「嘘と知らんぷりは違うの?」
サンドイッチ屋の息子の律くんは、うんと小さい頃にお母さんを亡くしている。
律くんにとってぽっかり穴が空いたような、空白の時間。
お母さんはどこに行ったの?と聞いてくる息子に対して
お父さんはどうすればいいのか分からず、つい嘘をついてしまう。
青年と同じアパートに住むマダムはというと、「やっかいよねえ」とか言いつつも
亡き夫の形見の腕時計のネジを毎朝巻いている。
“上っ面だけの優しさ”を感じさせない彼らがすごくいいなって思った。
社会に出て、いつのまにか人間不信になっていた私。
人の表情を伺い、なんでも許して、嫌な気持ちを隠して、
そうやって生きている自分がひどく醜く思えてならない時期がありました。
素直に周りの人の言葉を信じられなくなった。
好きな人の前でも自分を偽るようになってしまった。
何年もかけて色んなことを試して
環境を変えて、仕事も変えて、付き合う人も変えて…
まずは”自分を理解すること”に時間とお金と体力を使うことにしました。
自分にとって大事なことが何なのか、何が欠けたらだめなのか、
人によってそれは全然違うし、
たとえ家族であっても共有したり理解しようとしてもできない。
でも無理に合わせたり、理解しようとしなくていい気がします。
腕時計をしないトロワの店主、
食べること、昼寝をすること、本を読むことだけをする部屋に暮らすあおいさん、
教会にお祈りをする律くん、
彼らに何も聞かずに言わずに、
ただそっと近くに、同じ空間に存在していたいと思える人たち。
この物語全体の空気がとても心地よかったです。
吉田篤弘さんの今回のお話は、とても現実に近くて馴染みやすい内容でした。
ランチを食べながら、
疲れた日のお酒の共に、
休憩中のお茶菓子のお供に、
なんで食べながらばっかり…って?
物語にも美味しい食べ物がたくさん出てくるからです😉
最後までご覧頂きありがとうございました。
おすすめなので、ぜひ読んでみてください。
れんげ
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