【感想】恩田陸「光の帝国-常野物語-」を読みました。謎に満ちた不思議な一族。

おはようございます、れんげです。
恩田陸さんの「光の帝国」という小説について書いていきたいと思います。

この作品は私にとって第一作目となる常野一族シリーズでした。

理世シリーズとはまた違った不気味さを放っていて胸騒ぎもしつつ、感動させられるお話ばかり。

是非、読んでいただきたい作品です。

光の帝国 常野物語 (集英社文庫) 恩田陸
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ストーリー

「常野一族」…謎に満ちた不思議な能力がある人々。

書物を丸々暗記する子供。

将来が見える者。

遠くの出来事が聞こえてしまう者。

中身は穏やかで権力への欲がない普通の人間たち。

彼らが求めるもの、抱える悲しい現実とは。

哀しみと温かみが入り混じる感動ストーリー

こんな方におススメ!

・歴史的なテイストが好き
・空いた時間読めて、でも単純すぎない短編集を探している
・現実離れした世界観に浸りたい

読みやすさ(難易度)

ストーリー
(4.5)
構成
(4.0)
登場人物
(3.5)
Total
(4.0)

十章の物語が連なった短編作品ですが、一つの物語が均一な短さで厚さも薄く手に取りやすいと思います。

それぞれ常野一族の個性が伴うストーリーになっていて時代、背景などはバラバラです。

ただ、読み終えてみると不思議なくらいに一貫性を感じました。

書き方も様々ですので、砕けた会話が多いお話、手紙の内容が淡々と記されただけの固い文章構成のお話など、個人で読みやすさ読みにくさの両方をどこかで感じる部分があるかもしれません。

少々残酷で悲しい余韻を残すような場面も出てきます。

目を背いてしまいたくなるような残虐なシーンもこの本で恩田陸さんが表現したかったことなのかなと重要性も感じます。

見どころ

常野一族という特殊な能力を持った人々だからこそ直面する苦悩と悲しい宿命が、鮮明に読者に伝わってきます。

それは、“一族”という枠組みに囚われず私たちの日常に存在する“一個人”として重ねることのできる事実なのかなと感じます。

この本の中で、特殊能力を持った彼らが自分の力を共通の名で総称している様子が私の興味をより掻き立てられます。

その力が一体何なのかという言及が無いまま物語が進んでいく…

私たち読者に答えを委ねている書き方は、恩田陸さんの魅力の一つだと思います。

感想

ここからは、私が個人的に気に入っている台詞や文を抜き出して自由に感想を書いていきます。

誤字脱字や稚拙な表現が目立っていると思いますが、よかったらどうぞ優しい目で覗いて行ってくれると嬉しいです。

ネタバレを含んでいますので、先に読了をおすすめします。

スーパーパワーは決して恵まれたものではない

「誰もが羨む特別な力」。

常に光を放っているような印象が強くあったが、この小説を読んで覆された。

洋画のマーベル作品に想像以上に影響されているというのは自覚しているが。。

起源・歴史という分野に触れているシーンが多くあったためか、日本という国ならではの風習という背景を強く感じた。

人と違うことを「する」、「言う」、「持っている」は、集団から軽蔑され排除されていく。

小さい子供のときから自然とそういう風習が存在し、みんな同じでなければならないという見えない拘束がある。

これは、常野一族に限らず私たちが生きる日本社会でだ。

実際に幼い頃に排除された経験がある私は、ひどく共感してしまう。

だからこそ、能力・才能を隠し普通の人の中でひっそりと暮らしている彼ら。

僕たちは、光の子供だ。どこにでも、光はあたる。光の当たるところには草が生え、風が吹き、生きとし生けるものは呼吸する。それは、どこででも、誰にでもそうだ。でも、誰かのためにでもないし、誰かのおかげというわけじゃない。---p134

第六章「光の帝国」で幼い健が言う台詞である。

私の胸に響いた。そのとおりだ。

この章が一番印象深い。悲しい結末だが、彼らの悲痛の叫びがダイレクトに伝わってきた。

別作品「黒と茶の幻想」の中の男と女と単一生殖の生命体の話を思い出す。

彼らは滅びてしまう運命にあるのだろうか。

またどこかで表にでられる瞬間をじっと待ち構えているのだろうか。

終盤の「黒い塔」で亜希子が言われた。

ーーー常野の人が時代の表面に出なければならないような世界ーーー

いったいこの先彼らにはどんな世界が待っているんだろう。

謎に満ちた能力

「ツルを切り続ける男」「しまう能力」「裏返す」

読み終わった後も考えずにはいられない能力の数々。

どれも、なんだか恐ろしく興味深い。

ツルが体から伸びて手の施しようがなくなったら、その人はどうなるんだろう。

そもそもツルは何をしたら生えてくるのか。

裏返されてしまったとき、どこに連れていかれるのだろう…

物語にずんずんと引き込まれていく。

読者の想像力と好奇心を掻き立ててくれる恩田陸さんの作品をもっともっと読みたいと思った。

最後に

最終章のツル先生が待ち望んでいた再会が実現するシーンは、とても好きです。

今までの緊張感がフッと抜けたような微笑ましい気持ちになります。

常野一族シリーズ…他の作品も読んでみたいと思いました。

本日もありがとうございました。

れんげ

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