いっそ、二人で殺そうか。あんたの旦那
望まない職場にうんざりしていたOLの直美。夫の酷い暴力に耐え続ける専業主婦の加奈子。
30歳目前にした彼女たちが下した究極の選択とは…
手に汗握る、前代未聞の殺人劇。
れんげ
この記事を書いている私は、年間読書量250冊以上・小説好きのインドア女子です。このブログでは、私が本を読んで感じたことや心からおすすめしたい物語をご紹介しています。本選びの参考にして頂けたら嬉しいです
今回読んだのは、奥田英朗さんの『ナオミとカナコ』です。
・ハラハラドキドキしたい
・状況によって正義が変わる物語が読みたい
・女性の自立がテーマの読後感の良いものが読みたい
あらすじ
望まない職場で憂鬱な日々を送るＯＬの直美は、ある日親友の加奈子が夫・達郎から酷い暴力を受けていることを知る。
ドス黒い痣を隠すようにそれでも笑顔を見せようとする加奈子に、直美はいたたまれなくなり
加奈子と共に達郎を殺害する計画を立てることに。
周到な準備と予行練習で完全犯罪かと確信していた二人だったが….
物語を読んだ感想
文字通り手に汗をかきました。
女ふたりによる完全犯罪…と思いきや
次から次へと穴が見つかってしまい追い詰められていきます。
息をもつけぬ展開とはまさにこういうこと。
今の自分のセリフは大丈夫だったか、ぼろは出なかったか…
正直、このハラハラドキドキに最後まで耐えられるかの勝負でした😂
DV
これを読んだ方は、殺す他にもっと他に手立てがあったはずだと..思うのかもしれません。
最終的には、彼女たちが悪だと…。
本当にそうでしょうか。
悪いのは100%男性の方。
それは揺るがない事実です。それが殺された途端に立場が変わっていく…
この正義が揺らいでいくストーリー展開が実にリアルで、自分のことのように真剣に考えさせられます。
ーーー他にどういう手があったというのか。
夫の両親はもちろん、息子の肩を持つでしょう。注意するから、と。
自分の方の両親はきっと助けてくれると思いますが、いつ彼が乗り込んでくるのかわかりません。
もし彼が刃物を持っていたら…
警察や相談所..その場しのぎで逃げる場所はあると思いますが、彼が捕まることはないに等しい….ということは彼から逃げることはできない。
私は、この先ずっとビクビクして生きていかなければいけないのでしょうか。
こんな男のために私は、一生を捨てなければならないのでしょうか。
彼女の心の叫び、決断後の変貌ぶり。
この物語の”隠れ見どころ”だと思います。
直美の顧客として出会った中国人の女性・朱美社長は物語の中で言います。
日本人は言いたいことを我慢する。それはとても良くないことです。
中国では黙っていたらやられる側のままです。
日本でもそうだ。
でもそれを当たり前とするか、おかしいと感じるかで自分の運命が変わる。
アケミ社長と出会ったことで、中国人の強い価値観に刺激され、みるみる生き生きしていくキャリアウーマンの直美。
その直美に全力で意見されたことで、自分の意志・これからの人生を大事にするようになった加奈子。
この連鎖がとっても気持ちよかったです。
中国人女性に対するイメージが大きく変わりました。
DVからは逃げられない、誰も守ってくれない。
この先この恐怖を抱えながら生きいかなくちゃならないんだったら…って
そういう思考に陥ってしまったら、この先どうする？
もし友人がDVされていたら、私はどうする？
親友以上の固い友情、
対する遺族側の怒りや悲しみもふんだんに組み込まれているプロット、
重い…
だけど確かな希望も感じた爽快な読後感。
瞬きするのも忘れるくらい夢中で読ませる物語でした。
ハラハラする・立場が変われば正義も変わるような展開が好きな方は、
絶対に楽しめると思います!
最後まで読んで頂きありがとうございます＾＾
本日も素敵な読書時間をお過ごしください♩
れんげ
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