伊坂節炸裂!
伏線だらけの展開にハラハラドキドキの伊坂幸太郎さんの新作「ペッパーズ・ゴースト」をご紹介します。
伊坂さん過去作品のおいしいところがギュッと詰め込まれたこの長編作品は、ファンの間でもかなり高評価!
「面白すぎて、読み終わってしまうのがもったいないくらい」
「久々に読むのがとまらなくなった」
などコメントしている方が多く、私自身もかなり楽しめた作品です。
読もうかどうか、まだ迷っている方は是非この記事を参考にしてみてください^^
れんげ
こんにちは、れんげです。
小説が大好きアラサーOLです!年間250冊以上の小説を読んでいます。
新しいものにこだわない読書スタイルで、『何度も読み返したい作品』との出会いを追い求めて、日々読書を楽しんでいます。
このブログでは、読書好きの私がおすすめする小説をご紹介しています。
みなさんの読書習慣、または本選びに少しでも役に立てると嬉しいです。
コンテンツ
ストーリー
他人の飛沫を浴びることでその人の未来が見えるという中学校の国語教師・檀(だん)と、
檀の教え子の女子生徒が描く小説原稿 ”ネコジゴハンター”。
二つのストーリーが絡み合う。
一人の生徒の命を持ち前の能力で救ってしまった檀は、それがきっかけで思わぬ大事件に巻き込まれていく。檀の運命はどうなってしまうのか。
すべての発端は、犯人が人質もろとも集団自殺した「カフェ・ダイヤモンド事件」。
被害者サークルの行き場のない悲しみと怒りの中、聞こえてきたのはドイツ哲学者ニーチェの言葉だった。
果たして、檀は大事件を食い止めることができるのか。
こんな方におすすめ
- 伊坂幸太郎さんの本が好き!
- 伏線を考えながら楽しむ読書がしたい
- 長編ミステリー作品が読みたい!
読みやすさ
長編ですが、段落分け(喋り手が誰なのか)を頻繁に示してくれているので物語を見失うことがなく非常に読みやすいです。
物語の中の小説部分と現実部分の区別もしやすいようにデザインが施されているのも、優しい配慮ですね^^
とにかくひっきりなしにストーリーが展開していきます
初心者の方も飽きずに一気に読めてしまう作品だと思います。
登場人物が多めなので、「あれ、これ誰だったっけ」となりがち。
登場人物表が最初のページにあるので、カバーできるんですけどね。
登場人物
まず、本書を読む前に押さえておくべきなのが登場人物!
こちらを把握しておくとストーリーにスムーズに入っていけるだけでなく、伊坂さん作品の特徴でもある伏線回収にも役にたちますよ♪
檀千郷(だん ちさと) | 中学校国語教師 |
吉村先生 | 檀先生の同僚。数学教師 |
里見大地 | 檀先生受け持ちの生徒。父・祖母と3人暮らし。 |
布藤鞠子(ふとうまりこ) | 檀先生受け持ちの生徒。自作小説を執筆中。 |
マイク育馬 | テレビ番組司会者 |
ロシアンブル | ネコジゴハンターの一人。とても悲観的だが強い。 |
アメショー | ネコジゴハンターの一人。とても楽観的で強い。 |
罰森罰太郎 | ネコジゴの一人。富豪家。(作家の優しい配慮が伺えるネーミングw) |
サークルメンバー
庭野 | 三十代男性。庭師。グループのリーダー的存在 |
野口勇人 | 二十代男性。ひきこもり。庭野と婚約していた姉の弟 |
羽田野 | 六十代男性。元小学校校長 |
成海彪子 | 二十代女性。カンフー映画を好む20代女性 |
康雄・康江 | 六十代。医師と看護婦の夫婦 |
哲夫 | 五十代男性。元工場勤務 |
沙央莉 | 二十代女性 |
将五 | 二十代男性 |
見どころ
重めのテーマを扱ってはいるものの、明るい性格の人物の登場や、彼らの軽快な会話のおかげで
楽しみながら読めるところは、伊坂幸太郎さんならでは。
今回もロシアンブルとアメショーと呼ばれる名コンビが笑わせてくれます。
悪人なのに正義感があり、やることをきっちりこなす主義な彼ら。
人間味溢れていてとても好感をもてます。
一体全体、いつどこでどんなふうに、この二人の物語と檀先生とのお話が繋がるのか….
中盤から一気に始まる伏線回収が見ものです♪
主人公の未来視能力と物語中で起こるあれゆる出来事との絡み合いも絶妙。
非現実的なのに、とても現実にありそうなものとして描かれています。
始めから最後まで、ハラハラ・ドキドキが止まらない作品です。
感想
ここからは、私が個人的に気になったことなどについて自由に書いていきます。
ネタバレぎりぎりなところなので、興味のある方はそのまま読んでいってください!
現実と非現実とが絶妙に交わっている仕組みが面白い
まず、小説と現実が同時進行していく物語構成が印象的です。
この二つの世界がどこで交わるのか・いったいどんな仕掛けがなされているのか、期待を膨らませながら物語を楽しめます。
ロシアンブルとアメショーのことを以前から物語で読んでいた主人公が、彼らを目の前にした時に感じる感動と興奮を共有しながら、
同時に自分が物語の中に入ってしまったのではないのか、
それとも、彼らが本から飛び出してきたのかと錯覚に陥る状態…
主人公の気持ちを想像しながら読めてワクワクが止まりません。
ロシアンブルとアメショーの二人も物語の中で、
自分たちが作中人物である可能性について何度も触れていました。
もう筋書きが決まっているのなら、未来は変えられない。
同じ人生を繰り返していると悟る彼ら。
そこにニーチェの「永遠回帰」という言葉。
この二人の物語のメタ感と主人公の特殊能力との関わりが、より一層ストーリーの魅力を引き出している気がします。
伊坂幸太郎さんの好き・興味・得意の全部乗せスタイル
哲学要素・エンターテイメント・メタ的な要素が組み込まれた本作は、
まさに伊坂幸太郎さんのイイとこ取り( ´∀`)
現実に潜む超能力・格闘家・殺し屋という面白くないわけがない登場人物設定にも、伊坂さんの色を感じました。
これまで伊坂幸太郎さんの作品を読んできた方にとっては、高評価+大満足な内容じゃないでしょうか。
二人組の名コンビ・エンタテイナー
読者からの評価が特に高いのが、やはりこの2人。
”ロシアンブルとアメショー”
作中に見せるチームワークと戦闘能力の高さは読者を楽しませてくれます。
ネコジゴ(猫を地獄に送る会)を支持していた輩に、復讐をしていくわけですが、
ところどころに垣間見える、彼らのネコへの愛情や相方への配慮・ネコジゴ以外の者への思いやりに人間味を感じ、惹かれていきます。
伊坂幸太郎さんの作品にときどき出てくる、こういった人間味あふれる(憎めない)悪役は見どころの一つです。
重力ピエロやフィッシュストーリーなどに登場する泥棒の「黒澤」とか。
作品の重いテーマを緩和してくれて、暗くて悲しい現実(物語)と向き合っている読者に安心感を与えてくれるような存在です。
この二人組が主人公の続編も読みたいなあ、
と思った読者さんは少なくないはず!
被害者遺族の強い憎しみ
本作は、立て籠り事件の被害者親族たちの”やり場のない悲しみ、世間に対する憎しみ”について大いに考えさせられ、
心が痛みました。
彼らの怒りと悲しみ、絶望感が文章からも溢れ出ていて、正常に呼吸することさえままならないという状況が伝わってきます。
そんなときに耳にするニーチェの言葉を聞いた時の彼らはどんな気持ちだったのだろうか。
「真面目に周りに迷惑をかけずに生きていても、奪われる時は奪われる」
希望や光を失った彼らにとって、それは、まるで追い討ちをかけるように聞こえたのです。
このまま生きていても苦悩しかない。
いっそ世間に知らしめてから消えよう。と。
もし自分が同じ立場だったら…
同じことをやりかねないな…
大事な人を失った遺族たちの剥き出しの怒りと悲しみが伝わってくると共に、
現在も毎日のように起きている無差別殺傷事件のことを思うと、
決して、物語だけで終わらせてはいけない問題なんだと念を押される想いでした。
ラストまで気が抜けない
さてさて、注目すべきは物語のフィナーレ。
ラストの逆転ストーリーは読者をハラハラ・ドキドキ・興奮の渦へと誘います。
何度も逃げるチャンスがあるのにもかかわらず、逃げずに立ち向かっていく檀先生。
使命感・あの時の後悔がこうも人を動かせるのか。
”ここで逃げてしまった”という記憶がずっとつきまとう人生を、もう一度おくりたいと思えるだろうか。
胸が熱くなります。
他人のために必死に現実に立ち向かっていく檀先生が大活躍するラストです。
アクション・頭脳戦・伏線回収、もうじっとしてられないストーリー展開に鳥肌がたちます。
最後まで読んだところで、このタイトルの意味がすべて繋がってくるのがとても気持ちがいいです。
まとめ
今回は、伊坂幸太郎さんの小説「ペッパーズ・ゴースト」の感想やポイントを紹介してきましたが、いかがでしたでしょうか。
これまでの伊坂幸太郎作品の集大成とも呼べる本書。合わせて、ニーチェの本も読みたくなります。
気になった方は是非読んでみてください。
伊坂幸太郎さんの他作品も読んでみたい!という方は、こちらの記事もチェックしてみてください。
これまでのヒット作・おすすめ作品をまとめています。
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れんげ
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最後までありがとうございました♪
それでは、今日も素敵な読書時間をお過ごしください🌸
れんげ