こんにちは、れんげです。
今日は、辻村深月さんの小説「ツナグ」を紹介させていただきます。
映画化もされたこの本は結構話題になり、文庫版も累計90万部以上という人気ぶり。
私はこの本が辻村深月さん作品第一冊目でした。初めて読んだのはずいぶん前、映画化される前だったと思います。
納得の話題作といった印象で、涙を流しすぎて次の日目が腫れた記憶があります。
何度読んでも心にくるものがあり、何度も泣かされました。
映画は見たことないですが、機会がありましたら是非視聴したいと思います。
ストーリー
「使者」と書いてツナグ—-。
死者との再会を一度だけ叶える指名をもった存在。
この使者によって果たされた生者と死者との再会は、彼らの心に何を残すのだろうか。
許される時間は満月が顔を出す一夜。
謎の死を遂げたアイドル。
母。
親友。
失踪している婚約者。
あなただったら誰を選びますか。
心温まる感動ファンタジー大作。
こんな方におススメ!
・感動長編物が読みたい
・一人の時間に読める本が欲しい
・友情、恋愛、親子、色んなストーリーをちょっとずつ楽しみたい
読みやすさ
とても読みやすい小説です。
5つの章で構成されている長編ストーリーですが、一つ一つが物語として独立している印象を受けます。
何度も押し寄せる涙腺崩壊の瞬間が読者のページをめくる手を動かし続けます。
最後の章は、今まで出てきた短編の裏側物語といってもいいですね。
読者の心が晴れ、もやもやを取り除いてくれます。
会話も多く、優しい表現が多いので文章が苦手な方でも楽しめる一冊だと思います。
見どころ
「使者」として登場する少年に注目です。
1章目と最後の章とで、彼の印象が180°変わっていることに気づかされます。
彼の生い立ちや彼の感情を、これまでの彼の仕事の数々(4章まで)の一番最後に持ってくるところにグッときてしまいました。
短編集とおもいきや、一つ一つの作品があっての最終章、”感動のクライマックス”です。
感想
ここからは、私が個人的に気に入っている台詞や文を抜き出して自由に感想を書いていきます。
誤字脱字や稚拙な表現が目立っていると思いますが、よかったらどうぞ優しい目で覗いて行ってくれると嬉しいです。
ネタバレを含んでいますので、先に読了をおすすめします。
生者が死者に会うこと
辻村深月さんはこの物語で何を伝えたかったのか。
共感と納得の連続だった。
使者によって再会できた者たちは、言い換えれば大変な時間と労力をかけて使者探しに成功した者たち(母と長男の話は例外とも言えるが)ということであって皆が会いたい死者に強い未練と後悔を抱いていた。
死者は鏡の中で光の点が集合し形成されていくのを少年・歩美は目にした。それは、生者の強い想いが作り出したもの。
自信を満足させるため、死者の想いを背負っていくための生者の希望なのではないか。
歩美も言っていた。
生者のためのものでしかなくとも、残された者には他人の死を背負う義務もまたある。失われた人間を自分のために生かすことになっても、日常は流れるのだから仕方ない。
残されて生きる者は、どうしようもないほどにわがままで、またそうなるしかない。
それがたとえ、悲しくても、図太くても。 ーーーp146
生きている人間は、物事を自分が納得いくように解釈する。自分自信が気持ちよく、明日を迎えられるように。
それは例え、第三章に出てきた女子高生たちのように、報われない答えでも、時間を経て自分が満足できるように。
そういうようにできているんじゃないかな。
だから歩美は、わざわざ自分の両親に会わないと決意した。
彼自身の出した解釈に救われたから。
言うべき言葉とそうでない言葉
告白する場所を失った私の、今日まで自分一人の胸に沈めていた事情を今ここで口にしたいのは、御園のためじゃない。自分が楽になりたいだけだ、と気づいてしまう。
第三章「親友の心得」で、主人公の嵐が死者の御園と再会している場面である。
私の心に深く響いた台詞だ。
死者だから言う言わないじゃなくて、大切に思っている人すべてに対して言うべきでないこと。
正直になるのは正しいことで、決して間違いではないと思う。
ただ、大人になってくると時々、口にしない方が良いことの判断も大切だなあと気づく。
言おうとしたことが「自分が楽になりたいだけ」の事情であることがほとんどだから。
温和で後悔のない人間関係づくりは、この判断と思いやりが大切なんだ。
最後に
使者・歩美の両親の話、叔母との温かみのあるやり取りは、とても印象深く心に残っています。
彼の優しい人柄、それぞれの依頼に対する想いを知れた最終章は一番感動的でした。
期待を裏切らない一冊です。
このブログを書き終えた後もしばらくは余韻に浸っていると思いますw
皆さんにも是非読んで頂きたいです。
本日もありがとうございました。
れんげ