【感想】三浦しをん「木暮壮物語」を読みました。クセが強めな登場人物が面白い!

本日は、三浦しをんさんの「木暮荘物語」という小説を紹介して参ります。

購入してから約2年ほど経ちますが、読むたびに新たな発見がある気がします。三浦しをんさんの作品を何冊か手に取りましたが、いつも一風変わった性格の登場人物がでてくるという印象をうけます

取り上げるテーマは社会問題に上げられるような重たいものもあるにもかかわらず、キャラクターの予期もしない返答、行動に思わず笑ってしまいそうになる場面が含まれているのがとても好きです。

ストーリー

小田急線の急行通過駅、世田谷代田から徒歩5分に位置する築ウン十年のオンボロアパート、「木暮荘」。

今にも床が抜けそうなアパートには全6室、老大家木暮と女子大生の光子、サラリーマンの神崎、花屋の店員、繭の4人が平穏に暮らしている。

つ屋根の下、互いの事情や生活を目撃したりされたりする中で、いつしか打ち解けあい繋がり始める。

愛を求め傷ついた住人たちをそっと癒すのは、隣人たちだった。

ちょっと奇妙で面白い、だけど心温まる感動ハートフルストーリー。

こんな方におススメ!

・純粋ロマンチックよりリアリティ恋愛が好き
・大人事情ネタ好き
・空いた時間にさらっと読める
・色んなストーリーを楽しみたい

読みやすさ

ストーリー
(4.5)

構成
(4.0)

登場人物
(5.0)

Total
(1.0)

読みやすさ◎です。
難しい表現や語彙が出てこないですし、割と現代風な内容なのでどなたでも馴染めます。

とにかく、登場人物のクセが強くて理解し難い場面もありましたが新鮮でこれはこれでとても面白いなと。

過激な話題+下ネタがちょくちょく出てきますので、もし苦手な方は避けた方がいいかも。

アパートの住人+住人の関係者同士にフォーカスを充てた短編集です。

見どころ

7つの話で構成されているこの作品。

どのお話もとても魅力的で私たち読者が得るものがあります。歳も仕事も性別もばらばらの人々が関わりあっていく様

子が全部の章で見受けられます。短編集のようですが、7章全部で完結する気がします。

個人的には第一章と第七章が気に入っています。

感想

ここからは、私が個人的に気に入っている台詞や文を抜き出して自由に感想を書いていきます。

誤字脱字や稚拙な表現が目立っていると思いますが、よかったらどうぞ優しい目で覗いて行ってくれると嬉しいです。

ネタバレを含んでいますので、先に読了をおすすめします。

相手に伝える勇気

第三章「黒い飲み物」は、アパート住人である繭がアルバイトでお世話になっている花屋さん「フラワーショップさえき」のご夫婦の話だ。

子供を作らなかった熟年夫婦の様子について描かれている。とはいっても、全然穏やかではない。

佐伯夫人が夫の浮気に気づき、浮気現場まで繭とストーカーし乗り込むという何とも過激な話である。

夫のコーヒーの味が泥の味のように感じる。

というのが妻が勘づいた原因なのだが、現実問題こんなことはありえるのだろうか。

純粋な繭が、そんなのありえない!あのいつも穏やかな店長が!と驚くように、人はあっさり人を欺き嘘をつくのだろうか。

私が将来、誰かと結婚したとしたら信頼関係が築けるのだろうか。

”女と男は同じ人間だけど全く違う生物だ”と言っている人を何人もみてきた。

佐伯夫人が最初に言っていた。

男女がお互いに求めるものの違いが、花束を通して現れるのだろう。
男は花束を通して、自身の力をアピールしようとする。
金銭や自分の存在の大きさといったものを。
でも女は、受け取った花束から相手の気づかいや対話の意思を読み取ろうとする。
どれだけ自分の好みを知ってくれいるのか、どれだけ細やかな思いを注いでくれているのかを。

お互いが嚙み合わないのは当然なのだと。なんだか悲しい気持ちになった。

でも、そういう理解がほんの少しでもあるだけで彼女のように夫の浮気現場でも取り乱さず冷静に連れ戻せたのかな。

彼女は負けたと言っていたけれど、私は、かっこいいと思い鳥肌が立ったのは事実である。

光子の話

この本の中で最もシリアスなテーマを取り扱っている第5章「ピース」。

神崎の話を読んでいると彼女が無防備で下品な女性というイメージを受けると思うが、すぐ次の章の彼女自身の話を読むと、読者の感情を一転させる。

幼くして、子宮が機能しないと宣告され人一倍辛い想いをしてきた光子に更なる試練がのしかかる。

赤ちゃんを押し付けられた光子の可愛がっている様子やどこにも行かせたくないという発言は涙を誘った。

本当は、とても友達想いで人懐っこくて、面倒見の良い彼女。

誰よりも幸せになってくれるといいな。

最後に

三浦しをんさんの作品は、人間の心情の機微をどことなく捉えていてとても心にしみわたるようです。

まだまだ、彼女の小説を読み漁っていこうと思っていますのでお付き合いくださいね、

本日もありがとうございました。

温かいコーヒーを注いで、楽しんでいただきたい一冊です。

れんげ

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です