【感想】小川糸「食堂かたつむり」を読みました。失恋女が作り出すこだわりあふれる「小さな食堂」

本日は、小川糸さんの「食堂かたつむり」という小説を紹介いたします。

タイトルがもうかわいくて、即購入してしまいました。

読んでみてびっくり。

内容は、かわいさというよりはリアリティあふれていて、食べること、生きているものを調理することについて真剣に考えさせられました。

心に残っているシーンがいくつもあります。

是非、この記事を参考に手に取ってみてはいかがでしょうか。

食堂かたつむり (ポプラ文庫) 小川糸
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ストーリー

叔母の影響で、幼い頃から”料理人になること”をずっと夢見てきた倫子。

同棲していた恋人に逃げられ、傷ついた倫子は故郷に戻ったのをきっかけにその夢を叶えるチャンスを与えられる。

一日一組のお客様を迎え入れ、一人一人に合うお料理をふるまっていくという山の中の「小さな食堂」

人々を幸せな気持ちにしていく倫子の心こもった料理は、ずっと疎遠だった”母”との関係をも修復していく。

食べる=「命を頂く」ことの大切さが感じられる感動物語。

こんな方におススメ!

・お料理が好き
・将来の夢がある
・親子愛の物語が読みたい
・女性
・自然の美しさを文章から感じたい

読みやすさ

ストーリー
(3.5)
構成
(3.5)
登場人物
(4.0)
Total
(3.5)

本の厚さも薄すぎず、厚すぎずといった感じで気軽に読めてしまう小説です。主人公の倫子が声を失ってしまうところから始まりますので、登場人物同士の会話はとても少なく倫子の心の声とともに一つ一つの彼女の行動や他の人物たちの言動が淡々と説明されています。

シンプルなストーリーで、小説の核となるメッセージがダイレクトに伝わってきて理解に苦しむことはないと思います。

生きている動物の命を絶ち、調理していく様子が鮮明に描かれている様子は目をそむけたくなってしまう方もいるでしょう。

きっとリアルに描写したのには、小川糸さんの目的がちゃんとあって食べることの真の意味を見出そうとしているのではないのかな。

見どころ

美味しいお料理がたくさん出てきます。

場所を確保して、インテリアなどを揃え食材を吟味して・・・というお店ができるまでの工程が魅力的です。倫子のこだわりが詰まった食堂が出来上がっていきます。

また、倫子がこれからお出迎えするお客様の過去や心情を予想して料理を考えていく様子は読んでいてとても優しい気持ちになります。

母娘の最後のシーンは必見です!

涙がとまりません。

感想

ここからは、私が個人的に気に入っている台詞や文を抜き出して自由に感想を書いていきます。

興味のある方は覗いていってくれると嬉しいです。

ネタバレを含んでいますので、先に読了をおすすめします。

もし、気が向いたらこちらに戻ってきて頂けると幸いです。

倫子の料理への想い

本の中の倫子の一つ一つの行動を辿っていると彼女にとっての「料理」への尊さが伺える。

たぶん大好きだった叔母からの影響かもしれない。

倫子の叔母はすでに亡くなっていて物語の中には登場しないが、どういう人だったのか想像できる気がする。

イライラしたり悲しい気持ちで作ったりしたお料理は、必ず味や盛り付けに現れますからね。
食事を作るときは、必ずいいことを想像して、明るく穏やかな気持ちで台所に立つのですよ。

倫子は叔母がよく言っていたことを鮮明に覚えている。

お客さんにふるまう彼女の料理は、どんなときもやさしくて感情がこもっている。

彼女が手にする食材一つ一つへの丁寧さと感謝の気持ち、それから当日やってくるお客さんにどんな気持ちになって帰ってもらいたいか、
彼女の料理に対する熱い想いが伝わってくる。スキルとかテクニックとかの次元ではない。

彼女の思い付きや食材を選ぶ様子を見ているとすべて即興で、一度も作ったことないんじゃないの?

と疑ってしまうほどのあの手際の良さとセンスの良さに感心してしまう。

自分の髪の毛を切り落とし食材に細心の注意を払っている彼女の様子、自分がお客様に出したものを捨てるときの彼女の悲しい顔、動物の命を殺めて調理に取り掛かろうとする彼女の真っ直ぐな姿勢。

”食べものを粗末にしてはいけない”と小さい頃からお母さんに言われてきたことを思い出した。

改めて命の大切さを理解できた。

おかん

倫子が「憎むべき存在」と軽蔑の目を向けていた母は、想像以上に純粋できれいな心を持った女性だった。

がんを宣告され、最後に寝ている倫子に問いかけているおかんのシーンはとても心に残っている。

少女時代からずっと想いを寄せてきた人との再会を果たし、自分が余命宣告をされているのに子供のようにはしゃいで喜ぶ、母。倫子をとても大事に、そして誇りに思っていた母。

最後にそんな結末がくるなんて。

おかんが死ぬまで声を出すことができなかった倫子の悔しい気持ちが伝わってきて涙が止まらなかった。

おかんが遺した倫子への手紙

一度からまった糸って、なかなかほどけないものね。

私はあなたのことが大好きなのに、どうしてもそれをきちんと伝えることができなかった。

私のお母さんは私の事どう思っているのかな。

ちゃんと私の気持ちが伝わっているかな。

そんなことが頭を駆け巡って、お母さんの顔が見たくなった。

最後に

田舎ならではの生活や人々の様子が、新鮮です。

食堂に訪れてくるお客さんひとりひとりにもまた魅力があって、楽しめると思います。

最後に番外編「チョコムーン」というお話も入ってます。^^

食堂や倫子をお客さんの視点になって書かれた物語です。映画版もあるとのことで見たのですが、やはり小説の方がやわらかで好きです。個人的な感想ですが。

是非、皆さんも読んでみてください。

小川糸さんの本、他にもおススメたくさんあります!

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