おはようございます、れんげです。
今日は宮下奈都さんの「羊と鋼の森」という作品についてレビューしていきます。
どうぞ最後までお付き合いを^^
ストーリー
高校生の外村は、偶然目にした調律師・板鳥のピアノ調律に魅せられて以来、板鳥のような調律師になるために音、人と向かい合う日々が始まる。
個性豊かな同業の先輩たちや様々なお客さんに囲まれ、悪戦苦闘しながらも成長していく彼の奮闘記を描く。
調律という新しい世界、そして深い深い森の中で外村は何を見つけていくのだろう。
静かで鮮やかで美しい物語。
こんな方におすすめ!
・調律師という職業に興味がある
・音色や芸術の美しさについての物語が読みたい
・単調で落ち着いた長編物語
読みやすさ
章分けは特にされていません。
単調で静かにストーリーが展開されていきますが、調律師という普段我々の身近にない職業からでしょうか、全く退屈さを感じません。
寧ろ好奇心が沸き勉強になった気がします。
私的に、登場人物が面白い!個性がそれぞれ強く味がある人々に圧倒されます。
見どころ
冒頭で外村の憧れの調律師である板鳥さんが彼自身の「目指す音」について語っています。
その3行の意味が、最後、物語を通してハッキリと外村に響いている瞬間にジーンと来ました。
調律師というあまり明るみに出ない職業ですが、非常に奥が深く、彼ら一人一人の強い想いが伝わってくるようでした。
感想
ここからは、私が個人的に気に入っている台詞や文を抜き出して自由に感想を書いていきます。
誤字脱字や稚拙な表現が目立っていると思いますが、よかったらどうぞ優しい目で読んでいただけると嬉しいです。
ネタバレを含んでいますので、先に読了をおすすめします。
努力と才能
小さい頃から家にピアノがある生活を送ってきた私は、何度も調律師を見てきた。
いつも同じ男の人が来てポロンポロン音を出しては帰っていった。
その時は、何も知識が無かったしそこまで興味が無かった私。
この本を読んで衝撃を受けた。
彼らの仕事は、とても難しく、一人では決して成立しない重役であるということ。
一見、地味でスキルさえ学べば誰でもできるようなことだと思っていた自分が恥ずかしい。
彼らは、ピアニストと同じく、もしくはそれ以上の努力と経験、才能が求められるのではないか。
ピアノを弾く人が求める音を、的確に見つけ探りながら調整していく。
私にとっては気が遠くなる話。というか未知の世界。
でも、、、
努力をしているとも思わずに努力していることに意味がある。
努力していると思ってする努力は、元を取ろうとするから小さく収まってしまう。
自分の頭で考えられる範囲内で回収しようとするから、努力は努力のままなのだ。それを努力と思わずにできるから、想像を超えて可能性が広がっていくんだと思う。
外村が和音を見て思った一節である。
彼女が輝いてみえた理由。
すごく共感した。
何度も壁にぶちあたり、焦り、自問自答していく外村だが、彼を見ていると“調律”ということはひとまず置いておいて、努力と思わずに当たり前にこなしているところがあった。
外村が和音を見て圧倒されたように、同業の先輩たちも外村に無限の可能性を秘めていると魅せられているんじゃないかな。
何の職業につくかは関係なく、どれも近道なんてない。
森の中のように、一歩ずつ自分の足で道を切り開きながら進んでいくしかないのだ。
最後に
この本には、心に響く言葉がたくさん出てきて思わず書き留めておきたい衝動にかられました。
素直でど真面目な主人公、外村は、先輩の冗談も通じないことが多々…そんなお茶目なシーンもあり、あ、こういう人いるよなって楽しめました。
それでは、このへんで。
れんげ