あの子の住む世界が羨ましくて、
周りに嫌われているところを見るとほっとしている自分がいる。
タイプの違う3人の女性を通して描かれる、少女時代から大人になるまでの獣道を描いた物語。
不器用で繊細で力強い彼女たちに、女子独特の幼少期を経てきた誰もが共感する。
れんげ
この記事を書いている私は、年間読書量250冊以上・小説好きのインドア女子です。このブログでは、私が本を読んで感じたことや心からおすすめしたい物語をご紹介しています。本選びの参考にして頂けたら嬉しいです
今回読んだのは、朝比奈あすかさんの『さよなら獣』です。
・女子同士の人間関係の複雑さに疲れている
・いつも他人と比較してしまう自分が嫌だ!
・登場人物たちの心理描写や会話が楽しめる物語が読みたい
あらすじ
美しく野性的な野々花、聡明でプライドの高い阿佐、繊細ゆえに孤絶しがちな咲。
小学5年生の春、三人はそれぞれの理由でクラスで浮いてしまっていた。
共通点も一切ない彼女たちだったが、二十歳になり、 それぞれモデル、大学生、ショップ店員と大きくなり、ふしぎな交流をもつ。
少女時代の獣道をくぐりぬけながら、 野々花は男遊びの奔放さをメディアで叩かれ、 阿佐は恋愛経験ゼロの自分を恥じ、性と生をこじらせていき…. 二章から成る、女子たちの繊細な心の成長、奮闘を描いた人間ドラマ
第一章-小学生- (ネタバレなし)
あの子の住む世界が羨ましくて、
周りに嫌われているところを見るとほっとしている自分がいる。
自分をもっと大事にしなきゃなんて分かってる。
それでも
気持ちのあり方も物の見方も、今さら変えることなんかできない。
人間関係に敏感で器用に立ち振る舞う阿佐、
いつも周りが見えていない美人な野々花と繊細で身動きがとれない咲。
この3人を見ていると私自身の過去の記憶を思い出さずにはいられない。
先生からの受け答えに失敗したり、人より頭が良かったり、
みんなと違う言動を取ったり、
強い者に反対しただけで、
自分の居場所があっという間に失われていく。
大人の世界よりずっとシビアな思春期。
生まれ持った性格や育ち、それぞれの個性を評価する能力がまだ備わっていなかったことは
大人になった今になると分かるけど、あの時はもう…訳もわからずただひたすらもがいて
苦しかったのを覚えてる。
自分にとって正しいことも、相手が傷ついてしまうことも
ちゃんと分かってるのに止めることができない阿佐の辛さも
自分がしたいこと、好きなことを他人の気持ち構わず突き進んでいく野々花の気持ちも
それを妬み羨ましがるクラスメートの女子の気持ちも….
ズキズキ、ヒリヒリ… 共感の嵐でした。
そこで学べた者、変わらなかった者、
いじめた者、いじめられた者がその後どんな大人になっていくのか。
2章へ続きます。
第二章 -大学生-
2章では、3人が20歳になり、 それぞれモデル、大学生、ショップ店員へと成長しています。
我慢を繰り返して持ち堪えてでも誰かと一緒にいたいか、
変人だと思われないように自分を押さえつける術を身につけていくか、
嫌われて仲間はずれにされても自分が進みたい道を歩くか、
そんな気持ちだった3人の20歳は、どんな人間になっていたのか。
楽しそう?幸せそう?
自分がどんな大人になるか、なりたいかは、
大人になってからしか分からない。
人生って酷だな、ってつくづく思わされる。
他人と関わりながら、新しい環境に移動しながら、
大人になっても葛藤と諦めを繰り返している彼女たち。
隣の芝生は他人がいる限りいつまでたっても青いまま。
でもひとつだけ、いいことが分かった。
頑張っても自分の性格はなかなか変えられない、
だからこそ、自分が心から好きな人や居心地がいいと感じる人をまずは大事にしようとしてみよう。
そうしたら自分の幸せが見えてきたり、自分のことがもっと愛おしく思えてきたりするのかもしれない。
3人の友情がこのまま続いていけばいいな。
10年後、20年後、どんな女友達になっているんだろう(●´ω`●)
他人に振り回されていたり、
いつも誰かを羨んでいる自分に苦しめられていたり…
そんな方に読んでほしい作品です。
最後までありがとうございました。
今日も素敵な読書時間をお過ごしください♪
れんげ
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