こんばんは、れんげです。
本日は、矢崎在美さんの「食堂つばめ」という作品を紹介したいと思います。
ふと、おなかが空いたと感じた時にこの表紙のたまごサンドイッチが目に入りました。
タイトル同様、ストーリーにも美味しい料理がたくさん出てきて食欲をそそられます!
ストーリー
食い意地だけが取り柄の男・秀晴は、突如目の前に現れたノエという女性に導かれ、食堂車で絶品玉子サンドを食べるという不思議な臨死体験をする。
そして玉子サンドの味が忘れられなかった秀晴は、ある場所に何度も案内される。
そこは、まだ生きるチャンスがある死者たちが迷い込む「街」。
「食堂つばめ」では、あなたの思い出の味を、あなたの記憶通りの味で食べることができる場所。
ノエの美味しい料理で、人々に“生きたい!”という意思が再び生まれていく…
家族愛・人間愛たっぷりの感動ファンタジー!
こんな方におススメ!
・美味しい料理がたくさん出てくる本が読みたい
・サラッと読める簡単な小説が読みたい
・異世界感を感じれる物語が好き
読みやすさ
厚さも短く、会話文と改行も多いので、非常に読みやすいです。
小説を読むのが苦手な方、初心者の方にもおすすめの一冊!
内容もシンプルなので、小説を読みなれている人には少し物足りない気がするかもしれません。
見どころ
生と死の境目にある「街」という異世界感に惹かれます。
願ったものがすべて具現化してしまう世界では、美味しいものも欲しいものも手に入れ放題。
ただ、訪れる人はみな秀晴のようにワクワク気分ではなく寧ろ「死の世界」へと急いで「街」には目もくれない。
なんで?と思う設定が多く見受けられ、その世界が存在する意味は何なのかを考えさせられます。
感想
※ネタばれ有りなので、まだ読んでない方は読了後にまた戻ってきていただけますと嬉しいです。
ノエ
できたら、ここにはいたくないです。帰りたい場所に帰れないことを再認識するところだから。
ノエさんはその場所にいるのが苦痛で仕方なかっただろう。
何度も現実の世界を行ったり来たりして死人がチャンスをつかめるように必死に訴えようとしていたから。
それまで彼女のなかにあった幸せだった記憶が現実との行き来で消えていき、今や哀しみと寂しさと悔しさという記憶のみが残るところまで自己を削っていたのだ。
そんな彼女を、それでもその場所に留めようとしていたものは何なんだろう。
私だったら、戻れないところへの未練から少しでも早く解放されたいがために、一目散にとんずらするのだろう。
他人には、自分と同じ想いをしてほしくないと自分の身を削ってまで任務をこなそうとする彼女は、天使か何かか、と思った。
もしかしたら記憶を失っても彼女はどこかで、また大好きな人に会えるという強い念があったのかもしれない。
懐かしい味
この本の醍醐味は、登場する料理たちだと思う。
主人公、秀晴は食いしん坊だけあって常に食べ物のことばかり考えている。
そして、妙に食レポがうまいのだ。
私はひどく共感する。そして、おなかが空いてくる。
玉子サンドイッチもそうだが、とんかつや唐揚げやしょっぱい玉子焼き。
特別おしゃれな食べ物っていうよりは、地味で小さい頃よく食べていたもの。
秀晴の「手作りのものが好物」っていうのも、作ってくれる人への感謝の気持ちが前提にあっていいなと思った。
奥さんとのやり取りの中で、秀晴が黙ったときの「お腹空いたの?」とか、食欲がない時に真剣に体調を心配していた様子は、読んでいて温かくなる。
最後に
3作品に渡るシリーズものなので、これは読むしかないですね。
サラッと軽く読めるこの作品、休憩のお供にいかがでしょう。
それでは今日はこのへんで。
ありがとうございました。
れんげ