【感想】宮部みゆき「ペテロの葬列・上」読了。拳銃を持ち微笑む老人の謎

本日は、宮部みゆきさんの「ペテロの葬列」についてご紹介いたします。

ファン待望の杉村三郎シリーズ第三作目です!私は、第一作目からハマってしまって今回も楽しみにしていました。

上巻、下巻と二冊で構成されているようです。はい、かなりの長編です。

今回は、上巻を紹介します。内容的にも上巻を読んでしまったら下巻を手に入れるしかありません。

さて、今回は一体どんな事件に巻き込まれるのでしょうか。

ペテロの葬列 上 (文春文庫) 宮部みゆき
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ストーリー

丁寧な言葉遣いの老人によって引き起こされたバスジャック。

車内には拳銃の音が鳴り響く。

たまたま乗客として乗車していた杉村三郎と乗客たちが目にした光景とは。

悪徳商法という日本社会に潜む闇へと杉村達は引きずり込まれていく。

犯人から送られてきた慰謝料と共に解決したはずの事件がゆっくりと動き出す、複雑ミステリー。

こんな方におススメ!

・推理好き

・杉村三郎シリーズが好き

・長編物が好き

・推理物が好きだけど、非条理、残酷なのは嫌

読みやすさ

ストーリー
(3.5)
構成
(3.0)
登場人物
(3.0)
Total
(3.0)

宮部みゆきさんの杉村三郎シリーズは特に章分けしていない長編ものですので、休憩するタイミングを見つけづらいです。

でもそのくらい内容はとても凝っています。

あらゆる事柄、登場人物が何かの手がかりやトリガーのように思えてきて1文1文丁寧に読んでしまいます。

登場人物はいつもながら多いですが、1作目2作目にもでてきたお馴染みキャラもたくさん登場するのでホッとします。

人物同士の会話が非常に多く、物語が進んでいく気がします。

この小説では、何も解決せず問題提起で終わっているので、この評価にしています。

2冊でワンセットという印象が強く上巻だけでは、未完成です。

見どころ

大きな事件やら小さな事件やら複数の事件が一斉に杉村三郎の周りで起こり、状況を行ったり来たりする物語の展開が見どころです。

最初の三分の一は、バスジャックの様子は描かれています。臨場感あふれ、その場の緊張感を味わえます。

最後まで、何が紐づいているのか読めないところに宮部みゆきさん作品の魅力を感じます。

園田編集長の過去に関する場面で出てきた”STトレーナー”というのがとても印象深いです。これは、この小説のキーワードにもなるんじゃないかな、と思っています。

感想

ここからは、ネタバレを含んだ個人的な感想を書いていきます。

ご興味がある方のみ、進んでください。大したことは書いてないですが、誰かと共有できたら幸いです。

毎度、宮部みゆきさんの小説には、現代社会を生きる人間の善と悪の部分がはっきり描かれていて、その上で杉村三郎の正直な心情の機微が読み取れます。

現実は綺麗ごとだけではダメなんだという寂しい事実を突きつけられるような気持ちになるのです。

正義感と欲の間で悩み苦しみ、戦う人々。悪徳商法は、そんな人間を食い物にして、壊してしまうとても恐ろしいものです。

今回、私が初めて耳にした”ST”センシティビティ トレーニング、通称感受性を鍛える訓練。

これが流行った時代が本当にあったのだろうかと目を疑ってしまいます。

まるで人権、人格を全て否定しているような惨い罰のような訓練である。

園田編集長の過去が明らかになり、事件時やその後の反応を見ているととてもいたたまれない気持ちになりました。

あんなにいつも強気な彼女をそこまでにしてしまう訓練とは、どんなに恐ろしいものだったのだろうか。

行き場をなくしたSTトレーナーたちがスキルを活かして大いに活躍できる場、、、悪徳商法。あぁ、確かにな。

義父の言葉が印象に残っています。

人間は基本的に善良で建設的だ。だが、特定の状況に置かれると、それでもなお善良であり続けることができるタイプと、状況に呑まれて良心を失ってしまうタイプに分かれる。その<特定の状況>の典型的な事例が軍隊であり、戦争だ

彼はいつも全てを見透かしている気がします。そして、杉村の推理のヒントとなる。

下巻でどんな展開が巻き起こるのか、とても楽しみです。

最後に

この巻はほんの序章にすぎません。下巻で全てが明らかになります。

この”ペテロの葬列”というタイトルも気になります。

私はミステリ・推理物初心者ですので、あまり大それたことは言えないのですが、

このストーリー展開がどうなのか、是非、皆さんの感想を聞きたいです!

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