れんげ
私は、年間250冊以上小説を読んでいるインドア女子です。このブログでは私のおすすめ小説、本を読んで感じたことをそのまま感想文にした記事も書いています。
小説に興味がある方、読んでみたいけど何を手に取ったらいいか分からない方の本選びの参考にして頂けたら嬉しいです!
今回読んだのは、太田愛さんの『犯罪者』です。
◎人間関係の深い溝や、行動心理、性格分析を多く含む物語が好きな方
◎社会問題が扱われた現実的テーマ&知識を得られる読書がしたい方

あらすじ・感想
昼の駅前広場で通り魔事件が発生し、4人が次々と命を奪われた。
ただ一人、生き残った青年のもとに現れた謎の男は、こう告げる。
「あと10日間、逃げ延びてくれ……」
事件は偶然ではなく、何者かによって仕組まれたものなのか?
真犯人の正体とは?
異変に気づいた一人の刑事と生き残った青年は、
暗殺者に追われながらも真実を追い求め、必死の逃走を開始する。
──彼らは、運命の10日間を生き延びることができるのか。
<ネタバレなしの感想⇩>
頭の中が
予想と期待で絶えず掻き回される。
助かる可能性が生まれる瞬間に見える希望と
突破口を見つけた途端に閉ざされた時の絶望感、
この繰り返しに疲弊しながらも、
それでも最後まで希望は捨てられない。
そんな不思議な意思に突き動かされて
一気に読み終えた本作。
作家、太田愛さんの読み手を引き込む力量に
とにかく圧倒されました。
様々な社会問題の組み込み方や
読みながら同時にたくさんの知識を吸収できるよう
計算し尽くされたストーリー構成が天才的。
外の世界が完全に遮断された感覚に陥った私は
物語の中から抜け出せなくなる。
先が知りたくて仕方ない、
いっそ文を飛ばしてしまいたい、
そんな衝動にかられる自分を押さえながらの
ハラハラドキドキ読書が楽しくてしょうがない。
偶然の通り魔事件が
実はそうでなかったと気づく瞬間…
主人公になった気持ちで緊張が走り
体温が上昇していく。
ーー逃げなければ殺される。
前科ありの19歳、
真面目に働くことだけが取り柄だった彼が
捜査から外されていた刑事と巡り合い
彼らの長い長い逃亡生活の幕が上がる。
なぜ10日間なのか、
なぜ自分が狙われなければいけないのか、
超人的に強い暗殺者の男から逃げながら
ひとつひとつの疑問に体当たりでぶつかる彼ら。
利用される者
利用する者
社会の底辺にいる者、頂点にいる者…
事件の真相と共に見えてくるのは
様々な場所で生きている人間の生き様と、
世の中にある、理不尽が支配する日本の仕組みでした。
“一所懸命働いてさえいれば、他のこととは何も考えなくていい、と高を括っている無邪気な国民は、
誰も己の国のことなど考えてはいない”
日本のゴミ処理事情、食品問題、奇病、
被害者が援助を受けるためにかかる膨大な労力と費用(裁判問題)
マスコミ、そして政治問題。
全てが物語の中でじっくり溶け出し、かき混ぜられて
やがて一つの線につながる頃
この言葉が重くのしかかってきました。
何も知らないのに、
現状を見ていないくせに、
「悪いのは誰だ」と責める相手をいつも探している人間たちは幼い子供と同じだ、と。
特殊な人生を強いられた者たちの強い信念
不条理な世の中に対する反抗…
自分の死をも恐れない大きな意思のぶつかり合いが
読み手の感情移入を、これでもかと促します。
ーー”やるかやられるか”
始まりから終わりまで、
追う側と追われる側、両者の行動心理を丁寧に描き出した描写が
本作の最大の魅力です。
相手の思うつぼに嵌り捕まってしまう時もあれば、
上手く空回りしてくれて
誤った選択をする登場人物。
そして読み手にも悟られることなく用意された
嬉しいサプライズもありました。
何の不自然さも感じさせない、
彼らの頭の中にある思考回路が手に取るように分かる、著者の表現力がお見事。
⚪︎ハラハラドキドキが最後まで続く没入感たっぷりの長編をお探しの方
⚪︎人間関係の深い溝や、行動心理、性格分析を多く含む物語が好きな方
⚪︎社会問題が扱われた現実的テーマ&知識を得られる読書がしたい方
におすすめです😊📚
今日も素敵な一日を📚
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