本日は、有川浩さんの「県庁おもてなし課」という作品を紹介いたします。
どこかで聞いたことあるタイトルだなあと思っていたら映画化もされていました。
錦戸亮さん主演とのことで結構話題になったみたいです。私はどうもそういうの疎くて、今になってしまいましたw
県庁の地域開発計画というテーマ、高知県が舞台というのが新鮮!
ストーリー
新しく開設された新部署”おもてなし課”での若手職員・掛水忠貴の奮闘記。
「だからお役所の連中は!」というイメージから何とか抜け出したい!
観光特使を依頼した人気作家との出会いが”おもてなし課”に大きな波乱と影響を与える。
果たして、掛水は愛するふるさとに活気を取り戻せるのか。
純度抜群のラブストーリー有りの地域開発系ほのぼの物語!
こんな方におススメ!
・役所で働いた経験がある
・地域開発というテーマに興味がある
・長編小説が読みたい
・純度100%の恋愛ストーリーが読みたい
読みやすさ
長編小説(厚め)なので読み応え抜群です。
ストーリーは、シンプルで分かりやすく有川浩さんの良さともいえる、リアルだけど心が温まるストーリになっています。
物語の舞台が高知県というのもあり、登場人物の会話はすべて”高知弁”です。
普段高知弁に触れることがなかった私にとっては、読みにくいと感じる部分もありましたが高知県の様子がより鮮明にイメージできる点で、面白みが出てくるのだと思います。
ゆるやかに、着々と物語が進展していきます。読了した後は何とも言えない達成感に浸りました。
見どころ
高知県の地域観光開発が主なテーマですが、元県庁職員と人気作家の親子関係に注目して欲しいです。
物語の序盤と終盤での彼らへの印象の変化が大きく、いつのまにか肩入れしてしまいます。
彼らが心から高知を愛していて本気で変えていこうという意思の強さに感動します。
もちろん、主人公の胸キュンモーメントも外せません。
さすが、有川浩さんです^^
いい大人の純粋すぎる恋愛は、読んでいてこちら側が恥ずかしくなってしまいます。
感想
ここからは、私が個人的に気に入っている台詞や文を抜き出して自由に感想を書いていきます。
誤字脱字や稚拙な表現が目立っていると思いますが、よかったらどうぞ優しい目で覗いて行ってくれると嬉しいです。
ネタバレを含んでいますので、先に読了をおすすめします。
不便を便利へ
この本から学ばせてもらったこと。
これまでの行政の開発下手のおかげで今もなお残っている高知の遺産、大自然。
”不便”を逆手にとって武器にしてしまう、という発想。
多紀と掛水が見た山奥の観光地、馬路村。
ここでは、距離が遠いという不便な環境を前向きに捉えその不便さを楽しんでいただきたいという村の人々の前向きな様子に触れていた。
不便というものを「価値があるもの」に変えてしまうという考え方は無理やり型にはめようとしていなくて、より個性が出てくるんだと思う。
今まで、地域観光というともともとある伝統や土地で個性が出てくるという印象だったが、寧ろそれに携わる人々の意見や考え方のほうが重要なのだ。
物事の伝え方で印象が一変する。
これは、よくよく考えてみるととても基礎的なことで観光だけでなく幅広いところで言えること。
小説を読みながら県庁の人々の頭の固さ具合や民間との考え方の違いが生まれてしまうワケ、上層部からの圧力など普段知りえないことに触れられて面白い。
掛水の一生懸命な姿勢は部署の人々に影響し、いつの間に彼らも真剣に取り組むようになっていた。
なんといっても吉門の反応の良し悪しで部署全体の雰囲気が歓喜に満ちたり、凹んだりと妙な一体感と団結が生まれるようになっていたところは高知県民ならではの魅力なのかなと思う。
役所で働き変化を嫌う人たちも、一県民としての熱意とプライドはしっかり持っていたことに感動。
最近、さびれてしまった商店街やテーマパークなどが日本全国にいくつもあると聞くけど、どういう取り組みをしてるんだろうと興味が出てくる。
ほかの本もあさってみようかな。
きよとお
観光特使である人気作家の吉門と義父の清遠、娘の佐和の家族物語も同時進行していくわけだが。
母親に振り回された挙句、東京に出ていった吉門はずっと帰りたがっていたけれど、
父にはもう迷惑かけられない。自分の世話をする義理はもうないのだから。
と「きよとお」に帰れないでいた吉門の心はとても繊細で優しい。
掛水はプライドが高いと言っていたけど、本当は臆病なのかなという個人的な感想。
最後の佐和を泣かせてしまうシーンはお気に入り。
吉門の不器用なところと健気なところが一気に伝わってくる。
こんなに想ってくれる人がそばにいて佐和はこれから幸せになるんだろうなあと想像を馳せながら微笑んでしまう。
清遠の素直にうれしさを出さないところも読者をくすぐるところ。
最後に
特に冷や汗かいたりドキドキさせられることは無いけれど、平和な気持ちで読める一冊。
殺伐とした忙しい毎日に疲れたなと感じたら、読んでみてはいかがでしょうか。
読み進めてじわじわと面白みが出てきます。
本日も最後まで読んでいただきありがとうございます。
みなさん良い一日を!
れんげ