れんげ
私は、年間250冊以上小説を読んでいるインドア女子です。このブログでは私のおすすめ小説、本を読んで感じたことをそのまま感想文にした記事も書いています。
小説に興味がある方、読んでみたいけど何を手に取ったらいいか分からない方の本選びの参考にして頂けたら嬉しいです!
今回読んだのは、川端康成さんの『山の音』です。
⚪︎美しい文体にうっとりする読書がしたい
⚪︎心の機微が繊細な物語が読みたい

あらすじ・感想
深夜に響いてくる山の音を
死の宣告と怯えながら、信吾の胸には昔あこがれていた女があった。
息子の不手際に悩まされ..
息子の嫁の可憐な姿に忘れていたはずの恋心を揺さぶられ..
老夫婦、子持ちの娘、そして息子夫婦の複雑な心理描写が浮かび上がる。
<本の感想>
人間の心の機微と情景がこれほど美しく一体化する描写が
他に存在するだろうか。
涙が止まらない、
生きるエネルギーが湧いてくる、
展開が面白い、工夫が凝らされている..そういうのとは
全く別世界の土俵に立つ戦後文学。
人の心の奥深くに沈んでしまった水晶石を覗きにいくような
不思議な魅力にそそられて
最近の私は、ついつい手を伸ばしてしまいます。
さて、いったい何に惹きつけられているのか
穏やかで淡々と進む物語の中に
時々見え隠れするひとりひとりが抱えた狂気
戦後の時代を投げやりに生き始める男たちと
それを黙認するしかない状況で生きる女の悲しみ
どこだろう、どこだろう、
なかなか答えに辿り着けないまま…
先行きを知りたい好奇心が静かに膨らんでいきます。
遠い遠い昔ではないのに別世界の光景を見ているような
この時代独特の、ほの暗い雰囲気や人間模様が
なぜか本を手放せない心地よさと矛盾していて
読後は不思議な気持ちに包まれました。
日本文学の美しい世界を堪能できる1冊!
もし60歳まで生きられたら、また手に取ってみたい。
その時私は何を感じるとれるだろう。
では、また。
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