こんにちは、れんげです。
本日は、はらだみずきさんの「海が見える家」という小説のレビューを書いていこうと思います。
書店で発見したこの本は、タイトルと装丁に惹かれ購入しました。
毎日毎日パソコンの前に座って仕事をする日々の私が、心から欲していた風景なのかなと思いつつ、この本に引き込まれていきました。
ストーリー
「あんたの親父、亡くなったぞ。」
見知らぬ男から父の死を告げる突然の電話を受けた息子・文哉は、丁度入社1か月で会社を辞めたばかりだった。
文哉が記憶しているのとはまるで違う風貌をしていた父親の死に顔。
遺された家を探し、父の足跡を一つずつ辿っていき、初めて目にする全く別人の父。
丘の上にある海の見える家で父はどんな景色を見ていたのか…
文哉が父の死から学ぶ「人生の幸せ」とは。
人生を見直すチャンスを与えてくれるかもしれない。感動作。
こんな方におすすめ!
・「海が見える家」に惹かれる人
・これといって趣味がない
・毎日働きづめで休憩したい
・家族愛
・感動長編小説が読みたい
読みやすさ
特に章分けされていませんが、シーンごとに番号が振られている点では(55個)、区切りやすく読みやすいと思います。
ストーリーもシンプルで謎解き要素が無く理解に困らないので、ちょこちょこ休憩しながら読むのもあり。
会話文も多く、登場人物も個性があって分かりやすいです。
小説初心者の方でも読みやすいと思います。
見どころ
文哉の考え方の変化と、周りからの文哉に対する目にはどこか共感できるところがあります。
文哉と生前の父・芳雄との衝突は、多くの人が経験することなんじゃないかなと思います。
私も父のことを考えずにはいられませんでした。
それから、中盤から登場してくる“凪子”はどういう女の子なのだろう。
彼女の波乱万丈な人生(まだ幼いので短いだろう)にも注目してしまいます。
感想
ここからは、私が個人的に気に入っている台詞や文を抜き出して自由に感想を書いていきます。
誤字脱字や稚拙な表現が目立っていると思いますが、よかったらどうぞ優しい目で読んでいただけると嬉しいです。
ネタバレを含んでいますので、先に読了をおすすめします。
犠牲と我慢
毎日仕事に追われ、都内の雰囲気にもまれていると「幸せ」の基本的な意味が分からなくなってしまうもの。
本当にこの会社にいていいのか。この会社で一生を終えてしまうのか。
誰しも考えたことがあると思う。
文哉が就職する前に父に言ったこと、
他人にどんなに評価されようが、自分で納得していない人生なんてまったく意味がない。自分を評価するのは、最終的には自分でしかないと思う。
このやり取りは、文哉と東京で齷齪働く文哉の元カノとの考えたの対立とも似ている。
ただ、父親には響き、彼女には響かなかった。
私は、両者の意見に納得できる… 両方正解で不正解なのだろう。
文中で何が正解か分からなくなり自問自答している文哉の心情が痛々しく突き刺さってきた。
文哉のように一か月足らずで、会社を辞めて田舎で生活することが唯一の正解だとは思わないが、自分自身の「幸せ」「将来」「こう
在りたい」というものに、気づくのと気づかないのとではその人の人生の質が全然違ってくるのかもしれない。
文哉の父親は、本来好きだったサーフィンと海辺での生活を犠牲にして2人の子供を立派に育て上げた。
父親としての役割・責任を全うし、今度は自分自身の幸せのために生きた。
そして彼が、その材料の一つとして新たに選んだ仕事..
——「人生を楽しもうとしている人のサポート」。
とてもカッコ良くて素敵だと思った。
そしてそれを気づかせてくれたのが息子の文哉。
最高の親孝行なんじゃないかな。
最後に
まだまだ続きがありそうな終わり方です。いや、続いてほしい!
海辺の暮らしの魅力、人々の温かさ、優しさがたくさん詰まった一冊です。
“田舎暮らし”というものも悪くなさそう。むしろ、してみたいです。
サーフィンにはそそられませんが、、汗
本日はこのへんで。
れんげ