結婚してやる。
と恋人に言われ反発した。自分が私と結婚してやるみたいな言い方で。
大学時代からの親友のチサトと古着屋を経営している37歳独身のハナ。
したくないことはしない、今までやりたい事だけをやって生きてきた。
それがいつの日か…
チサトとの経営方針のズレが生じ始める。
そしてチサト含む友人たちの結婚ラッシュ。
結婚は「幸せ」の証明なのか。
自分には何もない。
アラフォー女性の苛立ち、焦りや不安を描いた物語
ハッピーエンドではない良さ
自分は何をしたい?なぜ今の生活を選んだの?
結婚は?
子供は?
私は結局何を望んでいるの?
私は何を持っているの?
はっきりした答えは浮かばない。
…ただ、なんとなく。
達成したい夢があるわけでもなくて、
周りの友人や同僚みたいに稼ぎたいという気持ちもそこまで湧いてこない。
やりたいことがあるようでない。
じっと目の前のことだけをこなしていたらあっという間に今の私になってしまった。
こう、漠然と思って生きてきた女性は少なくないと思います。そんなアラサー・アラフォー独身女性のもやもやした気持ちを丁寧に汲み取っていく著者。
これはハッピーエンドではありません。
主人公のハナは、自分の不安や焦りをなかったことにするためーーーいろいろなことに手を出して彷徨います。
読者は、この主人公が幸せをつかめるんじゃないかと今か今かと期待しますが、それは裏切られてしまいます。
最後までもやもやした気持ちは続きますが、でも、形式上のハッピーエンドで終わらないことこそに、これからのハナに何かしらの希望を感じることができるのかと思います。
登場人物の複雑な心境の変化、筋が通ってないけれど感情で行動してしまうハナの気持ちや苛立ち..
そういった描写を存分に楽しめる作品です。
親友チサトへの嫉妬心
ハナの学生時代からの親友のチサト。
物語では彼女がハナの決断や言動に大きな影響力を与えているようです。
ハナとチサトが出会った時〜現在に至るまでや二人の恋愛観や仕事に対する考え方などがこと細やかに綴られています。
独身でいようね。
経営スタイルも今のままでいようね。
対等でいようね。私たちにはこれが合っているから。
チサトの持っている才能や行動力にいつも嫉妬していたハナ。
でもね、はなちゃん見てて、私思いました。
チサトもきっとハナのこと羨ましがってるよ。
ハナの周りはたくさんの素敵な人であふれている。生きていられないほど困ったことなんてない、
いつでもその時そばにいる誰かが助けてくれて大それたことじゃなくても、やりたいと思ったことができている。
人と比べても仕方ないしキリがない。
その時その場で、人が「幸せ」だと感じることは違うんだからね。結婚・未婚、誰が幸せで幸せじゃないかなんて本人にしか分かりませんよね。
それでも世間には勝手に線引きされて、いつのまにか自分で自分を可哀想な自分と憐れんでいることに気づいてしまう。
他人の視線が痛い。こう思われているって思い込みも実は自分が自分に対して思っていることだけのことなのかもしれませんね。
このハナと言う女性をみていると自分のことを言われているような気がしてドキッとしました。
母親の存在
彼女にとっての母親。
それは、家の中のすべてを手作りで埋め尽くそうとして、
毎年クリスマスになるとまずいケーキをつくる…そんな理解しがたい存在だった。
母を馬鹿にしていたハナはある出来事がきっかけで、母への想いがいっぺんする。
もう手遅れ。だけど、だから意味がないことなんて一つもない。
母親との思い出を反芻するうちに、彼女はひらめきます。
涙も思い出も全て糧にして前を向こうとするハナに心打たれます。
物語が1ピース1ピースのかけらが組み合わさって完成するように、人生もこれまでの苦しいこと、嫉妬、後悔すべてあるからこそ今があるんだなってこの本を読み終えた後思えます。
たくさん毒も吐いたり、プライドが高いせいでたくさん損をしてきた。
それでも、ひたむきでやりたいことに手を出してきたハナが
最後に気づくことができたこととは….
さあ、明日も頑張ってみよう。
私には私がついてる。
主人公のように、決められた枠に収まりたくない。
結婚が幸せとは限らない。
でもしたくないわけじゃない。という方におすすめしたい一冊です。
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