突然何かが永遠に消滅してしまう島..
木の実、
オルゴール、
鳥、
カレンダー、
本…
ひっそりと姿を消していくもの、誰かの叫び声や悲しみの中で消えていくもの…
ある朝突然その時はやってくる。
その消滅に従わなければどこかに連れて行かれてしまう恐怖の中で…記憶を失わない者も存在していた。
何かをなくしてしまう物語ばかりを書いていた私も…物語を…言葉を…そして自分自身をも失っていく。
哀しみと儚さの中で力強い叫びを感じる長編物語。
過去とのリンク
もともと、アンネの日記を愛読していた著者の小川洋子さん。
この「密やかな結晶」では、そんなユダヤ人迫害・ホロコーストを連想させるシーンが次々と登場してきます。
ここでは、記憶を無くさない者たちが秘密警察によって記憶狩りにあう様子。
夜逃げしようとする家族。
トラックから見える子供の手袋..
そして、
乱暴するシーンはないものの、感情が読み取れない記憶狩りの兵隊さんたちの形相を想像させる描写は読み手に恐怖を与えるほどです。
人の記憶
消滅の朝がやってくる瞬間 、そしてその消滅に人々が気づく瞬間。
それはとても儚くて、もの悲しい。
いろいろなものが消滅していく中で…1番印象深かったものは本でした。
特に本が消滅した日の光景..本や図書館が燃やされてる様子…が生々しくてゾワゾワしました。
秘密警察の目も気にせずに泣き叫ぶ女の人。
「物語の記憶はだれにも消せないわ」
消滅がどういうことなのか…
日常から何かが消えても、いつのまにか順応してしまう。
まるでもとから存在していなかったかのように、記憶から消えていく。
記憶をなくして消滅に順応していくもの
記憶をなくさずに、それを忘れないように大切に守っていこうとするもの
どちらが辛いのか、辛くないのか、
島のその後の変化や最後の物語の結末は洋子さんらしい力強さを感じてとても良かった。
大切な想い出ほど、誰とも共有したくない。
自分の心の中だけにとどめておきたい。と私はよく思っているのですが..
それは誰にも奪われたくない、邪魔できない、っていう
私だけの”密やかな結晶(記憶)”(*´꒳`*)
しんみり物語に浸りたい方におすすめしたい一冊です。
ぜひ、興味があったら手に取ってみてください^^
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