50歳の情熱がひらく、あらたな人生の扉。
東京の下町で暮らす主婦の志乃子は今年50歳の誕生日を迎えた。
ある日、喫茶店で知り合った女店主に促されガラクタ同然に扱われた骨董品を受け取ったことから、彼女の人生が少しずつ動き出す。
予期せぬ出会いと友情、そして今まで気づけなかった発見が引き寄せてきたのは…
れんげ
この記事を書いている私は、年間読書量250冊の小説好きインドア女子です。私が本を読んで感じたことをそのまま書いています。本選びの参考にして頂けたら嬉しいです
今回読んだのは、宮本輝さんの『水のかたち』です。
・不安を取り除きたい
・穏やかな気持ちで読書がしたい
・じっくりこれからの人生について考えられる小説と出会いたい
コンテンツ
年齢と共に増える不安
主人公は50歳の専業主婦。子供も大きくなって、夫とは仲がいいけれど昔の頃のように触れ合う機会はめっきり減ってしまった女性が主人公。
アラサーで未婚の私とは環境や年齢が離れているので、正直のところ、共感どころか読みきれないかもしれないなと思っていました。
でも、読後に思ったことはただ一つ。
「すごく勉強になりました。」です。
これぞ、人生の勉強。
50年、もしくはそれ以上を生きてこられた登場人物たち。
私の大先輩がみてきたこと、経験してきたこと、考えてきたことがありありと綴られています。
女として。
そして、人間として。
彼女たちがどういう考え方にいきついて、
目に見えない不安とどう戦ってきて、
これからいつ何が起こるかわからない年齢へと足を踏み入れていこうとしている現在、どんなことを考えているのか。
年齢問わず、不安というものはついてまわってきますよね。(超楽観的な人は除いて)
同時に「余裕」「安心」というものに憧れます。
宮本輝さんが描き出す「女性像」は、特にすごいことをしているわけでもない、ごく普通の女性。
なのですが、みんなどこか余裕な感じで強かで。
ああ、私が50歳になったらこんな女性になりたいなと思える内面を持っています。
ジャズシンガーとして活動をしている未亡人の沙知代。
彼女には才能があって、自信もある。何も怖いものはない。
そんな第一印象を持ちますが、自ら過去を語ってくれるシーンで彼女の並々ならぬ努力と熱意に心を打たれます。
そして、主人公の姉の美乃は、母親に寄り添いながら暮らしている。
わがままで泣き虫で恋に落ちやすいけれど、いざとなったら母親の生活環境をいつも第一に考えて冷静に相手を見極めている、本当に親想いの人なのだと思います。そんな二人をいつも気遣っている主人公。
家族なのだから、親なのだから、こんなこと当たり前なのかもしれない。
だけど、現実ではできないことっていっぱいある。
当たり前って考えたらいけないんだなあ。
どんな人間でも、それがたとえ家族でも、自分の子供でも、見くびってはならない。
私のこれからの教訓になりそうです。
理想の夫婦像
大人の恋愛というと、ドロドロの恋愛劇(不倫とか浮気とか)が多いですよね。
面白くはありますし学べることもたくさんありますが、なんとなく暗い気持ちにもなりますよね。
私は、歳を重ねるごとそういう物語を読むごとに、
“人を信じる”とか、”安心できる恋愛・結婚”というものに期待をしなくなってしまっていたのですが..
この物語で、心の底からいいなあと思える夫婦像にやっと出会えた気がします。
いつまでもお互いを尊重する関係、
いざとなったら必ず肩を持つ関係、
意見が食い違ったりしたら、相手の言い分を最後まで聞いて理解しようとする姿勢、
応援して、協力して、
素直にありがとうと相手に言える(●´ω`●)
目に見えないものだけど、大事なこと。
そういうのをコツコツ丁寧に積み重ねてきた二人な気がします。
”夫が水分を絞り切ってくれた胡瓜で作るサンドウィッチは特別においしい”
というセリフがありました。この1文に夫婦の仲の良さが凝縮されてますよね。
ということで、上下巻と二冊にわたる長編でしたが読んでよかったです✨
私の人生これでよかったのか、このままでいいのだろうかとか、
不安を感じている人にぜひおすすめしたい作品です。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
れんげ
小説選びに困っていませんか?
年間250冊以上の小説を日々読み漁っている私が、あなたの性格や好み、読書の目的などをもとに、心を込めて小説を選書するサービスを始めました♪
興味がある方は、私の公式LINEをお友達登録してください。
今話題急上昇中の新しい読書スタイル「選書サービス」を活用して、読書をもっと身近に、そして習慣にしていきませんか。
いろんな物語に触れて自分の内面を磨きたい!
感受性を養いたい!
今まで読んだことがない物語と出会いたい!
そんな多くの方にご利用いただいております。