「私は、レンタルでじゅうぶんなの。」
不倫と書いてレンタルと呼ぶべきか。
処女のポルノ小説家、30歳女・力石理気子のもとにロマンスがやってくる。
相手は子供がお腹にいる妻持ちの男、露。
理気子がポルノ小説を書くために習得してきたエロティシズムをぶちまけながら
真っ直ぐに恋をする理気子を描いた純愛物語である。
れんげ
今回読んだのは、姫野カオルコさんの『不倫(レンタル)』です。
・クセが強い登場人物が言いたい放題の物語が読みたい
・ダメ男の間抜けぶりを笑いたい
・スッキリしたい
強烈なキャラ、主人公・力石理気子
フィルターの「ふ」の字もない主人公のセリフに誰もが衝撃を受けるであろう。
そして本作は長編物語。読んでいるうちに彼女の過激な表現にも慣れてくるものである。
幼い頃から武術を叩き込まれ厳しく育てられてきた力石理気子。
接近してきた男をすぐ投げ飛ばしてしまう彼女は、そんな変わった生い立ちからか
今まで異性との関係を持ったことがない。
自分には女としての魅力も振る舞い方もてんで無いと思い込んでいる理気子の恋愛・セックスに対する感性がとても面白く、また職業が小説家ということからか、彼女の超越した表現力・語彙力に圧倒されます。
著者の姫野カオルコさんもあとがきで”三部作の中で本作に1番頭を使った”と話していたくらいなので、ぜひ注目してみてほしい。
ついていけないと思っても読み進んでみてほしい。
理気子の“どうか、私とセックスしていただけないでしょうか。”
という自分を下げてしまうスタンスに違和感を感じながらも、仕事と恋愛、好きな人の結婚相手と自分をどこかきっぱり割り切っている彼女の言動に女性としての凛々しさを感じました。
ロボットのように論理的な物言いで、何があっても動じない彼女。そんな風になれたら、どんなに楽だろうか。
そんな理気子が、夏(露の妻の予定日)が来なければいいのにとつぶやいた時は、じんときた。いくら処女を捨てるためにお付き合いしたからって…感情がゼロのままなんてのはないよな。
それでいて、なんでそんなに都合のいい女になろうとするのって何度も聞く男..
けっ。
彼女の、誰の歩調にも合わせないところ、空気を読まないところ、男性陣を論理的に淡々とぶった斬っていくところがすごく好き。
たくさん笑わせてもらいました。なんか清々しくて元気が出る。
不倫でなぜ男が辛くなるのか、理解できないわ</span>
ニヤニヤクスクス笑ってしまう部分が6割くらい。登場人物たちの印象が強すぎて一人一人すぐに記憶してしまう。
あとの4割はというと…男女の心情の違いについて。
ははあ、なるほど。とため息が出てしまう。
不倫ってやっぱりいけないこと。でもやっぱりその選択をしてしまった以上、振り回す方(既婚者)も振り回される方(独身者)両方に負担になって、ハッピーエンドな終わりは待っていない。女の方が私はレンタルでいいって潔く振る舞ってるにもかかわらず、男の方が耐えきれなくなるって…そりゃないぜ、って理気子の心の声が聞こえてきた。
整頓された言い訳だろうが、愛していたけど、しょうがなかったを肯定しようとする一生懸命な説明文だろうが、あなたの口からそんなの聞きたくない。
私と一緒にいて楽しかった、しあわせだった。
ただそう言ってくれればいいのに。
切ない想いをコミカルに表現してしまうところもこの主人公らしいのです。
最後のシーンは絶対に見逃せません!
理気子様がガツンと、かまします。
男女の価値観がひっくりかえった不倫関係はどこか間違っているような..
でも不倫自体が本来あってはいけないことだから…特に正解はないのだ。
つくづく女はこうあるべきだって無意識に洗脳されてしまっている自分。いやね。
ただぶっ飛んでてクセが強いだけじゃない、
知性と教養を兼ね揃えたうえではっきり物申す、
ジェンダーとしての役割の固定概念を真っ向からぶっ壊されました。
こういう作品を読むと、目の前の景色が変わる気がします。
笑いの要素が多い本作は、姫野カオルコさんの処女3部作の3作目。
ハイライトを引いておきたい、覚えておきたい箇所がたくさんありました。
ぜひ、他の2作品も興味本位で開いてみてください。
本日も読んで頂きありがとうございました🐰
冷えてきましたので、お体に気をつけてお過ごしください^^
れんげ
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