れんげ
私は、年間250冊以上小説を読んでいるインドア女子です。このブログでは私のおすすめ小説、本を読んで感じたことをそのまま感想文にした記事も書いています。
小説に興味がある方、読んでみたいけど何を手に取ったらいいか分からない方の本選びの参考にして頂けたら嬉しいです!
今回読んだのは、白河三兎さんの『もしもし、還る 』です。
⚪︎哲学的で文学的、人生を考えさせる物語にじっとり浸りたい
⚪︎ミステリー好きの方
「もしもし、還る」 著者:白河三兎 / あらすじ・感想
目が覚めると砂漠にいた。
そこに突如落ちてきた謎の電話ボックス。
訳も分からず手に取った受話器から聞こえてくる真実が
僕を混乱させていく。
<感想>
冒頭ですでに
心を撃ち抜かれてしまった。
.
目が覚めたら砂漠にいる
空から電話ボックスが落ちてきて…
中で電話が鳴りはじめる。
.
目の前の光景に感情が追いつかず
茫然とする主人公と共に
必死に脳を回転させる。
何が起きている。
この設定である意味は?
これから何が起ころうとしているのか。
繋がりのないエピソードが並べられているのかと思いきや
読んでいくうち、それが全てパズルのピースであることに気付かされる
物語の行方も重要人物も決して悟らせてくれない、
なのに濃密に張り巡らされた伏線から
この物語のミステリーとしての面白さが伝わってきた。
主人公の暗さが時に息苦しく、
心に重くのしかかってくるような不条理さが
読者を物語の中へと引きずり込んでいく
出口のない世界で
ただ待つことしかできない閉塞感
一本の電話線を通して、限られた時間の中で
相手からどこまで情報を引き出して
解答に辿り着くことができるか。
物語の行方が読めないワクワク感と
最悪の結末を常に想像させる不気味な緊張感
登場人物の一言一言に転がされてしまう悔しさが
私の興味を惹きつけて最後まで離さなかった。
著者の捻りが効いた発想と
底なし沼のような深みある表現力にゾクゾクしました。
みなさん、今日も素敵な読書時間をお過ごしください。
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